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お天気豆知識

下層雲の記事一覧

No.86

2008.3 Categories下層雲

層雲


(写真1)山すそにたなびく層雲(越前大野)

 雨上がりの日、山すそにたなびく雲が現れます。これが層雲です(写真1)。
広い平野でも、夜中に雨がやんだ日は、朝、低い雲が現れることがあります。これも層雲です。層雲の学名はストラタス(Stratus)です。ストラタスはラテン語で、“広げられた”とか“おおい物のある”と言う意味です。
 層雲は高さが2,000m以下の雲で、ときには地面すれすれに発生する、雲の中では最も低いところに現れる雲です。秋や冬などに地面が冷え込んだ入りすると、地面付近の水蒸気が凝結して霧になって、盆地を広く覆うことがあります。山の上からこの様子を見ると、山の峰が広がった雲の中に見えます。山の峰がまるで海に突き出した半島のように見えるので、このような雲を「雲海」と言っています。でも、この雲の中に入ってしまうと、視程が悪く観測結果は「霧」(視程1km以下)となります。関西に住んでいた頃は、秋になると丹波篠山や、生駒山系にある金剛山からの雲海がニュースになっていました


(写真2)冬の朝に現れた層雲(2008年1月3日)

(写真3)雨の前に現れた層雲
(2008年1月7日)

 このような層雲は、陽が昇ると消えてしまいます。(写真2)も晴れた朝に現れた層雲で、日が高くなると消えてしまいました。
しかし、層雲が現れるのは天気がいい日ばかりではありません。高層雲や乱層雲の下に(写真3)のような千切れた層雲が現れるとまもなく雨が降り出します。


(写真4)重茂半島にかかった層雲(岩手県波板海岸にて)

 梅雨期にオホーツク海高気圧から吹き出す冷たい東よりの風が三陸地方に流れ込むと、この地域は霧に覆われる日が多くなります。これも層雲です。この層雲は、広い範囲を覆うこともありますが、(写真4)のように帯のようになって海上から陸上に架かっていることもあります。時に小さな塊が、岬の中腹に架かることもあります。釜石でよく見る光景なのですが、手が届くような高さに雲の塊が浮いているので、なんとも言えぬ不思議な、心が和む風景でした。理科の勉強を見てあげていた女子中学生に、「あの中に入るとどんな感じ」と聞かれたことがありました。「沸騰したやかんの口から出ている湯気と同じものだよ」と答えたら、「なんだ」と言い、少々がっかりしたようなようすでした。何か夢を壊してしまったようです。
 梅雨期を中心に三陸を含む東北地方に吹く冷たい東よりの風のことを「ヤマセ」と言います。ヤマセのときは層雲や層積雲が広い地域を覆い、太陽の顔を見ることがなく、夏でも火が恋しくなります。宮沢賢治の詩の一節に「寒サノ夏ハオロオロ歩キ……」とありますが、ヤマセが優勢な年のことで、盛夏期の8月にも続いた年のことで稲は育たなかったことでしょう。北海道南部の勇払原野で仕事をした1980年はオホーツク海高気圧が優勢で、夏の間、霧や曇りの日が多く、頭をたれない稲を初めて見ました。

No.82

2007.11 Categories下層雲

層積雲


(写真1)層積雲
(2006年12月27日朝、横浜市都筑区)

 秋あるいは冬、朝起きると低い雲が塊状になったり畝を作ったりして空一面に広がり、畝の隙間から青空が見える、こんな空を見たことがありませんか。このような空を作っている雲が層積雲(写真1)です。うね雲とも言います。学名は、“ストラト・キュムラス”です。ラテン語の、“広げられた”を意味する“ストラトス(stratus)”と、“かたまり”を意味する“キュムラス(cumulus)”を組合せて作られています。層積雲がある高さは、温帯では地上付近から約2,000mの間で、下層雲に分類されます。
  層積雲は高積雲と似ていて見間違うことがあります。層積雲も高積雲も個々の雲の塊りがはっきりわかります。しかし、高積雲は個々の雲の塊にはっきりした影の部分がありませんが、層積雲にははっきりとした影の部分があります。さらに、1個1個の雲の塊は層積雲の方が高積雲より大きく見えます。水平(地平線)から30度以上の高さで測ることが前提ですが、 1個1個の雲の塊の視角が5度以上は層積雲で、5度以下で1度以上が高積雲です(図1)。 腕を目一杯に伸ばしたとき、人差し指1本の幅が1度でグーの幅が10度です。


(図1)層積雲と高積雲の視角の違い

 層積雲はどのようにして出来るのでしょう。日が西に傾いて気温が下がってくると、層雲ができ始めます。夜になると放射冷却で層雲の上の部分が冷やされていきます。すると雲の底との温度差が出来てその層で大気の状態が不安定となって雲の中で対流ができ、層雲が上方向に成長して(発達して)層積雲に変わっていきます。あるいは、何らかの影響で対流ができて積雲が発生し発達したけれど大気の安定層ぶつかって横に広がって層積雲になります。層積雲は弱い雨を降らせることもあります。それは、層積雲よりも高いところにある雲(高層雲のことが多い)から小さな氷の結晶(氷晶)が降ってきて、それが巻層雲を通るときに成長し、落下しながら解けて降る雨です。


(写真2)搭状に発達した層積雲の底
(2006年1月13日、横浜市都筑区)

 層積雲といっても色々な形の雲があります。
(写真2)のように層積雲を作る個々の雲の切れ目がはっきりせずどんよりとした感じの空になることもあります。層積雲が上方向に発達して塔のようになり、空一面を覆ったからでしょう。
その隙間から日がさしてきたのが(写真3)です。まるで自然がつくったスポットライトみたいですね。波動状になる層積雲もあります(写真4)。


(写真3)層積雲の隙間から差し込む光
(2003年11月23日静岡県沼津市)

(写真4)波動状になった層積雲
(2007年6月24日横浜市都筑区)

普通、波動で出来る雲、レンズ状の雲はそれが出来るとその位置に留まり、形を変えません。しかし、波動状の層積雲は、風下方向に向って動いていきます。レンズ状雲は高積雲で出来ることが多いのですが、層積雲でも出来ます(写真5)。山によって出来た波動でしょうか、山の近くだと船底のような雲(写真6)を見ることもあります。これも層積雲の仲間でしょう。


(写真5)層積雲のレンズ状雲
(2005年5月31日夕方、横浜市都筑区)

(写真6)船底のような雲
(1993年6月24日夕方、枚方市楠葉にて)

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