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お天気豆知識

梅雨前線の構造の記事一覧

No.52

2005.5 Categories梅雨前線の構造

梅雨前線の記号は?

天気図で使われている前線の記号は、温暖前線寒冷前線停滞前線閉塞前線の4種類です。


(図1)2004年6月7日午前9時の地上天気図

の天気図は昨年(2004年)6月7日午前9時の地上天気図(速報値)です。この日、北陸、東北にも“梅雨入り”が発表され、梅雨がない北海道を除き日本全国で“梅雨”に入った状態となりました。

 天気図には気圧が等しいところを結んだ等圧線が描かれており、高気圧や低気圧、台風だけでなく前線も描かれています。4種類の前線の違いはその記号を見るとわかります。天気図を北から南(上から下)へと見ながら、それぞれの前線がどのような記号で表現されているか見ていきましょう。
 樺太の北に中心気圧が996hPhの低気圧があるのが分かるでしょうか。低気圧の中心からオホーツク海の中央付近にかけて線状の円弧が描かれていて、線に沿って北側(上側)に黒く塗りつぶされた半円と三角が交互に描かれています。このような記号で表された前線を“閉塞前線”と言います。閉塞前線に沿って南下する(下に進む)と二つに分かれた円弧状の線があります。分岐点からカムチャッカ半島の南端にかけて東側に伸びているものには、その線上の東側(右側)に黒く塗りつぶされた半円が描かれています。これは“温暖前線”です。一方、分岐点から西側(左側)に樺太南部を通ってウラジオストック付近に伸びている円弧状の線の東側(右側)には、黒く塗りつぶされた三角が描かれています。これが“寒冷前線”です。関東の東から東北南部を通って九州北部にかけても弧を描くような線があり、その線上の北側(上側)には黒く塗りつぶされた半円が描かれ、南側(下側)には黒く塗りつぶされた三角が描かれています。この記号で表現された前線は“停滞前線”と言います。黒く塗りつぶされた半円と三角が線状に交互に並んでいるところは閉塞前線と似ていますが、その向きが違っていますね。

 (図1)の天気図の日に「北海道を除き梅雨に入った」と書きました。当然日本付近には梅雨前線があるはずですが、どれが梅雨前線なのでしょう?
 この天気図では、日本付近にある停滞前線が梅雨前線です。

 私は中学校の時に理科で“お天気”のことを習い、テレビやラジオ、新聞に載っている天気や天気予報、天気図にも興味を持ち始めました。梅雨前線という言葉が耳に入り、梅雨前線はどんな記号だろうと思い、教科書や参考書を探しましたが、それを表す記号はありませんでした。教科書や参考書を何回も読み、「“梅雨前線”は梅雨期に日本付近から中国大陸にかけて停滞する前線の総称」だということがわかりました。 
つまり、温暖前線、寒冷前線、閉塞前線、停滞前線も梅雨期に日本付近から中国大陸に現れた場合は“梅雨前線”と呼ばれます。


(図2)2003年6月25日午前9時の地上天気図

 (図2)の天気図を見てください。2003年6月25日午前9時の地上天気図です。梅雨真っ盛りで、近畿から関東甲信地方の所々で雷を伴った強い雨が降り、近畿では浸水や落雷の被害も出ました。東海道付近に996hPaの低気圧があって中心から東西に伸びる前線があります。東に伸びるものは黒く塗りつぶされた半円が付いているから“温暖前線”です。西に伸びるものは黒く塗りつぶされた三角が付いているから“寒冷前線”です。この、温暖前線も寒冷前線も“梅雨前線”と呼ばれます。

No.41

2004.6 Categories梅雨前線の構造

梅雨前線と低気圧

 地域によって違いますが、6月から7月中旬は雨の季節、梅雨です。梅雨を少し違った方面から見ていきましょう。


(図1)ジェット気流

 北半球中緯度(日本がある緯度)の上空では偏西風帯となっており、空気が南北に蛇行しながら西から東に流れていて、その流れが最も強いところをジェット気流と言います。(図1)
ジェット気流は2本ないし3本あります。
  一番北にあるジェット気流を「寒帯前線ジェット気流」と言い、そのジェット気流の北側には冬の主役となる寒気があり、南側には春や秋の主役となる空気となっています。 寒帯前線ジェット気流が日本列島の真上や南に来ると日本は真冬となります。また、一番南にあるジェット気流を「亜熱帯ジェット気流」と言い、その北側には春や秋の主役となる空気があり、その南側には夏の主役となる暖気があります。亜熱帯ジェット気流が日本列島より北に行くと真夏となります。
これらのジェット気流は1年を通じてあり、春から夏にかけてと北半球では北上して行き、秋から冬には南下します。それぞれのジェット気流は地上の前線や前線帯が対応しています。
 梅雨前線は、一番南にある亜熱帯ジェット気流と関係していて、亜熱帯ジェット気流が日本付近に来ると梅雨となります。

 亜熱帯ジェット気流の速さは、北半球で一番北にある寒帯前線ジェット気流の速さと比べると遅くなっています。寒帯前線ジェット気流で強い風が吹くのは、このジェット気流に対応した地上の前線や前線帯を境にして接している空気の温度差が大きいためです。なぜ前線を境に接している空気の温度差が大きいと、ジェット気流の速さが大きいかの理由は、ここでは省略します。一方、亜熱帯ジェット気流では寒帯前線ジェット気流のような強い風は吹いていません。 このことは梅雨前線を境に接している空気の温度差が小さいことを意味しています。

 低気圧は前線上に発生しますが、秋から春にかけて日本付近を通過する低気圧の中心気圧が急に低くなる(低気圧の発達を意味する)のは、前線を境にして温度差の大きい空気が接しているからです。(図2)にはその例を示しました。


(図2)低気圧の発達例(2004年2月22日(左)と23日(右))

22日に日本海中部にある中心気圧が996hPaの低気圧が翌日の23日には北海道の東で中心気圧が968hPaに発達しています。しかし、梅雨前線上では低気圧のこの例のように中心気圧が急激に低くなることはなく、逆に中心気圧が高くなったり、消滅することもあります。これは、梅雨前線を境に接している空気の温度差があまりないからです。

 (図3)は昨年(2003年)7月に熊本県水俣市で土砂崩れが発生した時の天気図です。19日に日本海西部と朝鮮半島にそれぞれ1000hPa以下の低気圧がありますが、20日には前線だけが日本付近に進んできていますが、低気圧は消滅しています。


(図3)梅雨前線上の低気圧(2003年7月19日(左)と20日(右))

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