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お天気豆知識

No.94

2008.11 Categories雲の不思議

雲のおめかし、雲のイボイボ

●雲のおめかし

 雲の上に雲ができたのを見たことがありますか。(写真1)や(写真2)がその例です。(写真1)ではタワーのような白い雲の上に帽子のような雲があります。(写真2)でも右側の雲の頭に別の雲があり、左側の雲には胴体にマフラーを巻いたような雲があります。これが、雲の上にできた雲で、ずきん雲ともいいます。


(写真1)搭状積雲の上にできた頭巾雲

(写真2)頭巾雲のある積乱雲の夕映え

(図1)A:積雲の凝結高度 B:気流Cの凝結高度

 上空には水蒸気をあまり含んでいない空気の層や、安定しているけど水蒸気をたくさん含んでいる層があり、流れています。安定して水蒸気をたくさん含んだ層は、少し上昇させれば冷えて(膨張による)雲粒ができます。このような層の気流が、モクモクと上に向かって成長した雲にぶつかると、それを乗り越えようとして上昇します。その気流の凝結高度よりも上に行くと雲粒ができ、雲を越えて下降して凝結高度に戻ると雲粒は蒸発して消えます。このようにして、(図1)のように雲の頭に雲ができています。搭状になった積雲の胴体部分に雲ができることもあります。高い山、例えば富士山の頂上に笠雲ができるのと同じ原理です。

 (写真3)は12月の末に撮った写真です。積雲が幾つもあり、すべての積雲の頭に雲ができていた、なんとも不思議な光景でした。


(写真3)帽子をかぶった積雲たち

 (写真1)や(写真2)では雲が帽子、あるいは頭巾をかぶって、おめかしをしているみたいですね。ところが、このような、雲の上や周りにできた雲はすぐに消えてしまいます。雲はおしゃれさんだけれど、恥ずかしがりやさんなのかも知れません。

●雲のイボイボ(乳房雲)


(写真4)カナトコ雲にできた乳房雲

(写真5)カナトコ雲にできた乳房雲の夕焼け
ネードの本を見ると、(写真4)や(写真5)よりも大
きな乳房雲がオレンジ色に染まっているのが載ってい
ます。 何かの機会があったら見てください。

 (写真4)を見てください。空を暗い雲がおおっていて、写真の真ん中あたりにイボイボがあるのがわかるでしょうか。このように雲の底にあるイボイボのことを「乳房雲」と言います。哺乳動物のお乳に似ているのでこのような名前で呼ばれています。乳房雲は主に巻積雲、高積雲、層積雲などの厚みのある雲の底にでき、濃密な巻雲や積乱雲にできることもあります。 (図2)のようにこれらの雲の中に下降気流があって、雲の底が下の方に垂れ下がって、このような形になります。
 (写真4)は三重県の鳥羽にある鳥羽水族館の近くで撮りました。乳房雲はカナトコ雲にできています。 この日は、三重県中部に大雨洪水警報が出ていました。
(写真5)の矢印で指したところも、カナトコ雲にできた乳房雲が、夕日に当たってオレンジ色に染まっています。アメリカの雲の本やトル


(図2)乳房雲の構造

(写真6)雨が降り出す前の乳房雲

 今年(2008年)6月初めのある日の夕方、空を見上げたら、すっかり濃い灰色の低い雲に覆われて、底にはイボイボがありました。イボイボは(写真4)や(写真5)のようにはっきりしませんが、(写真6)はそのときのものです。 イボイボが消えたらまもなく雷雨になってしまいました。
 (写真4)や(写真5)のように乳房雲が遠くに見えるとき、高いところに見えるときは自然の造形の面白さを楽しめます。しかし、乳房雲が頭の上にあって低く、乳房の形が消えていく場合には、強い雨に注意してください。


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