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お天気豆知識

No.40

2004.5 Categories雲の不思議

雲のしっぽ

 雲は直径が5~10μm(1μmは1000分の1mm)のとても小さな水滴(筋雲やいわし雲のように、高いところにある雲は氷粒)が浮いている状態です。雲粒は雨粒と比べると遥かに小さい水滴です(大きさの比較はバックナンバー第6号「雨の降るしくみ」に掲載)。雲粒同士がくっつくなどして大きな粒子になって落下し、地面に到着すると雨として観測されます。その粒子が落ちてくる途中で蒸発すると雲に尻尾が出来ているように見え、これを尾流雲と言います。(図1参照)


雲から落ちてくる水滴が地面に着くと雨、途中で蒸発すると尾流雲。
(図1)雨と尾流雲

 尾流雲は主に、巻積雲(うろこ雲)、高積雲(ひつじ雲)、高層雲(おぼろ雲)
、乱層雲(雨雲)、層積雲、積雲(綿雲)、積乱雲(入道雲)に現れます。乱層雲や積乱雲のような乱雲の規模の大きい雲は違いますが、尾流雲が発生すると本体となる雲はやがて消えてしまうことがあります。

 下左の(写真1)を見ると雲から尻尾のようなものが左から右に垂れ下がっているのが分かると思います(矢印部分)。これが尾流雲で、母体となる雲は積雲でしょう。右の (写真2)は発達しきった積乱雲ですが、積乱雲の左側に雲のこぶから筋みたいにまっすぐ下に延びた部分(矢印部分)があります。これも尾流雲と言えるでしょう。


(写真1)積雲にできた尾流雲
(矢印部分)

(写真2)積乱雲にできた尾流雲(矢印部分)
(和田光明,中村則之,2000より)

 「尾流雲」は「Virga」の訳語です。水野量氏(1995年天気1月号)によると、この訳は元気象庁長官の吉武泰二氏が測器課長をなさっていた昭和20年代に、「ビルガ」→「ビリュウ」→「尾流雲」と連想し、その雲の名前が観測法改定委員会で認められ「地上気象観測法」(昭和25年1月(暫定版))に初めて載ったそうです。 モーパッサンの長編小説「Une Vie」を「女の一生」と訳されていることも吉武氏の連想のヒントとなったそうです。ちなみに、「Une Vie」を直訳すると「ある一生」だそうです。
 ところで、「Virga」はラテン語ですが、辞書をみると、小枝・そだ・棒・笏(しゃく)とありました。さらに辞書を読むと医学用語で体の一部を表す意味も載っていました。


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