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健康天気ことわざ

No.15

2010.11.22

福岡義隆

のどもと過ぎれば熱さ忘れる

 猛暑の夏が過ぎて一気に秋を迎え、朝夕の涼しさが妙に肌寒く感じて、熱いのも大変だったけれど寒いのも嫌だねって行き交う人の小言である。まさに「のどもと過ぎれば熱さ忘れる」さながらである。文字通りの意味は、熱いお茶などをひとおもいに飲もうとして、あまりの熱さに言葉も出なく、口中が火傷したようになるが、喉を通過してやがてその熱さも消えるようにひく。誰しもがよく経験することである。このような肉体的な辛さだけでなく精神面や経済的な苦難にも同じようにたとえて、苦しい経験も過ぎ去ればなにもなかったようにけろりと忘れるようなときにも使われる諺である。

 病気にもいわれ、古くは『日蓮録外書』にも「世俗の譬に咽喉過ぎぬれば熱さ忘れ、病癒えぬれば医師忘るといふらん」とある。医者ばかりか、苦しい戦後を乗り越えてきた祖父母や老親などへの恩、また、行く道に迷っていたときに教えを頂いた恩師などへの恩も、忘れがちな昨今、種々の意味からこの諺は教訓的な深みがある。
 咽喉といえば歌う声を喉ということがある、すなわち「美しい喉を聞かせる」よか「喉を鳴らす」のようにである。秋の野原を散策しながら声高に歌うのも健康に良いが、路傍の草木の葉を笛にして奏でるのも興がある。誰しもが上手に奏でるわけではないが、リズムになってないまでも草笛そのものに「音楽療法」の効用があるとされる。小柴北里大教授らによると草笛の妙音によってストレスからの有毒ホルモンが出なくなるとか、草笛のメロディーによる快感が良薬ホルモンを出させ体細胞を強くする、あるいは、草笛を使うことで腹式呼吸とか腹筋運動にもなって全体的に健康体操になっているとされ、特に胃腸病治療に効果があると言われている。草の葉そのものに薬事効果があるのも確かである。
 心も爽やかに草笛吹きながら野を闊歩する、幼きころの思い出を胸にしつつ・・・

竹馬の友へ草笛という相聞歌   義龍

草食べた話に草をむしりつつ   南都

文献:
豊沢豊『草笛音楽療法』(健友館)
朝日新聞科学部『ことわざ医学文庫』(朝日文庫)



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