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健康天気ことわざ

No.13

2010.10.25

福岡義隆

夜露は身体の毒

 大気中の気体状の水分が水蒸気であり目には見えない存在であるが、これが視覚で捉えられるのは凝結して水滴になるか昇華して氷雪片になるかである。前者の一例が日没後から早朝にかけて木の葉や路傍の石につく露である。夜露はいつもできるわけではない。晴れていて風が弱い天気状態下に発生しやすく、移動性高気圧に覆われやすい秋や春に結露しやすいのである。高気圧に覆われて夜露に刈り上げた稲の束が濡れることから翌日が晴れることも観天望気される、すなわち、「稲束に露多きときは晴れ」。

 オーストラリアのエアーズロックを見学したとき良く晴れているのにエアーズロックに登るイベントが中止になった。夜露に濡れていて滑りやすくて危険だからと言う説明に納得はしたものの残念であったの思い出す。
 夜露に濡れることは身体には良くないと言われる。それは汗をかいたとき、汗水が蒸発する際、潜熱放出が体温を下げるからである。異常に体温が下がると、病原菌などに対する抵抗力が衰え、風邪がひきやすいなど、身体にとって夜露は毒なのである。湯上りで身体が濡れたまま居眠りしたりすると、風邪をひいたり幼児の場合は生死にかかわる大事に至ることがあるので要注意である。

 風水には金儲け主義の占い師も少なくないが、本来は意外に科学的根拠に基づいている考えもある。たとえば、台所や風呂などの水場近くに寝室を設けてはいけないとか、中庭に水を湛えた池を設置してはいけないと言う。これらにはリウマチなどの病気を招きやすいからと言う病理的な根拠があるので、決して迷信ではないのである。いつもじめじめしていてはリウマチや筋肉痛、古傷などにとって良くないことは、梅雨期にリウマチなどが発生しやすいメカニズムと同じように考えれば納得がいく。

 一軒屋でも総合住宅でもおおよそ一階は居住環境としては地面からの湿気を受けやすく、壁や押入れなどに結露しやすい程に上階に比べると湿度が高いのである。寒い季節は勿論のこと、秋雨や梅雨時のような湿度の高いころや、夜から朝方にかけての多湿時間帯にも結露しやすい。衣類や壁などにカビが発生しやすく人の健康にとっても良くない環境となる。結露には上記のような表面結露とは別に内部結露というのもある。建物の室内側に防湿装備がなく、室内で発生した結露水が壁体内に侵入するかたちで発生する。板壁であれば、木材や断熱材等の腐敗や劣化が進み、建物の寿命が短くなる。

 発生する季節によって冬型結露と夏型結露がある。室内の水蒸気の量が多い高湿の場合に発生し、夜間から早朝にかけて外気によって冷やされるガラス、サッシ、壁の中の温度が露点以下になる部分で生ずるのが冬型結露である。一方、夏型結露とは地下室や開放された倉庫などの床、空調の効いた部屋の冷たいものに高温多湿な外気が接触することで発生する。壁の外部にも防湿装置を設置することによりかなり避けることができる。

  「隙間多い木造長家に結露なし」といった時代が懐かしい。 もともと日本の夏季には結露が発生すると、その表面にカビが発生しやすく、その土地のクリモグラフ(気温と湿度の条件)から乾性カビと湿性カビの季節が読み取れる(図参照)。

文献:
米山公啓監修『すぐに役だつ健康ことわざ111』(家の光協会、1997)
「からだと温度の事典」(朝倉、2010)
松山陽等著『建築と気象』(朝倉、1986)


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