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健康天気ことわざ

No.38

2011.10.10

福岡義隆

大食短命

 文字通り「大食いの人は命が短い」という意味である。

 「天高く馬肥ゆる秋」というものの余り食べ過ぎると、身体にいろいろと支障を来たし病気を招きかねない。
 肥満も一種の気象病という見方がある。秋は一年で空気がもっとも清々しく、体感的にも暑からず寒からずの陽気である。秋の空気が澄んでいるのは、地面が冷えつつあるのに加えて、時折降る秋雨(秋霖)によって地面が湿って埃が立ちにくいからである。その上、新鮮な果物をはじめとして秋の食べ物はことさらおいしく、暑さで夏バテした身体も心機一転して快復に向かう、まさに食欲の秋である。痩せたいと思いつつもスポーツやハイキングの後にもりもりと食べる微笑ましい風景が目に浮かぶ。
 なお、「天高く馬肥ゆる秋」というのはもともと中国伝来の諺とされる。すなわち、中国北西部の農民の間で伝承された諺で、秋になると馬に乗って略奪にくる蒙古人を恐れていた頃のこと、夏の間放牧していた馬が、たっぷり草を食べて肥ってくる秋のころになると、農民たちは蒙古の襲来に対する警戒心を呼び起こすために、この諺を引用していたと伝えられている。

 ところで、食べ過ぎや飲み過ぎによる肥満が病気の一種というものの、どの程度太ると肥満というのだろうか。
 肥満度の指数BMI(Body mass index)は、身長の二乗に対する体重の比、すなわち身長×身長で体重を割った値で示す指数です。
     肥満度BMI = 体重 / (身長)2 (単位: kg、m)

図 肥満度指数BMI(X)と疾病有病指数(Y1:男性、Y2:女性) 筆者作図

 図からも明らかなように、この肥満度BMIが男女を問わず22の値で高血圧とか肝障害、高脂血症などの発症率が最小となることが分かる(永井ら、2007)。そして、肥満度が22となるときの体重が理想的な「標準体重」と称される。上の式の左辺を22とおくと、
     標準体重 = 22 × (身長)2 

 それでは、どのように肥満を判定するかというと、BMIが25以上を「肥満」と評価している。25~30の範囲を肥満Ⅰ度、30~35を肥満Ⅱ度、35~40を肥満Ⅲ度、40以上を肥満Ⅳ度と評価している。しかし、ここで留意しなければならないことは、体重が多いというだけでは危険な肥満度とは必ずしも言えない。大事なことは、体重を大きくしているのが脂肪分なのか、筋肉分なのか、あるいは水分過剰なのかで意味が異なる。要するに危険な肥満とは身体に過剰な脂肪が蓄積した状態なのである。ともあれ、肥満は万病の元と言われることを重視して欲しい。

文献:
米山公啓:『すぐに役立つ健康ことわざ111』(家の光、1997)
永井・小宮・松浦・森:『疾病の有病数からみた理想的なBMIの検討』(肥満研究13巻3号、2007)


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