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健康天気ことわざ

No.22

2011.02.28

福岡義隆

食後の散歩は長寿の秘訣

 三月ともなると日増しに暖かくなる。服部嵐雪の有名な俳句に、「梅一輪一輪ほどの暖かさ」というのがあるが、時折寒さがぶり返して三月入試ころに雪が降ったりもする。しかしさすがに春分ころになると、そろそろ桜の開花便りが聞こえ暖かさも本格的になる。まさに「暑さ寒さも彼岸まで」である。

 近くの公園や校庭の桜はどの程度芽を吹き始めているか、何分咲きかなと思いを廻らしながら散策する季節到来である。そこで冒頭の諺が意味をなしてくる。朝食後や夕食後はまだ肌寒いから昼食の後でも軽く散歩するといい。この諺は、中国の「飯後百歩走、能活九十九」という諺の日本語訳であるが、もともとは、食後と言ってももっぱら夕飯後の運動を指しており、中国国内の地域や年齢を問わず全国的に使われているという。類似の中国語ことわざに次のようなものもあるという(千野明日香、2010)。

「飯後百歩走、気死小薬舗」 (食後の散歩は薬屋泣かせ、特に河北地方の諺)
「飯後一百歩、当過人参補」 (食後の散歩は高麗人参の効き目にまさる、特に広東地方)
「飯後不動、必定生病」 (食後運動しないと必ず病気になる、特に寧夏地方の諺)

 日本にも「食べてすぐ寝ると牛になる」という諺での戒めがあるが、これは健康上の問題よりも行儀作法から来たもののようである。一方では、日本では逆に食事直後の運動はあまりよくないともされている。なぜなら食後すぐの運動は消化の妨げになるからしばし静かにしている方が良いということである。どちらが正しいかというよりは食後の時間と運動量の程度によって決まるものと思われる。

 「春に3日の晴れなし」とか「春の天気と女心」と言われるほどに春の天気は変わりやすいとされるが、時には少々長く春雨が降り続くことがある。菜の花の時節から「菜種梅雨」と言われる。菜の花は「報春の使者」ともいわれる春を告げる代表的な花で、見る人の心を明るくはなやかな気分にしてくれるばかりでなく、体の機能を整え活力を補ってくれる。すなわち「菜の花は全身の機能を整える」まさに自然のお医者さん、花療法の効果があるとされる。

 菜の花には、500g中に、たんぱく質21g、糖分25g、脂肪1.5g、ビタミンC220mg、その他アミノ酸、グルタミン酸、カルシウム、りん、鉄など多くの栄養分が含まれている。したがって、東洋医学では、菜の花に含まれている芳香成分によって、脾臓が丈夫になり、利尿作用とか解熱・解毒・止血などの効果があると言われる。煎じて飲むと、蕁麻疹も治るという。

註; 冬の間、本州付近を支配していた大陸高気圧の張り出しや、移動性高気圧の通り道が北に偏り、一方で、その北方高気圧の張り出しの南縁辺に沿って、冷湿な北東気流が吹いたり、本州南岸沿いに前線が停滞しやすくなったりするために日本の南海上で生じ、特に関東地方に影響が 現れやすい。南岸に小低気圧が頻繁に発生しやすくなるのもまた特色で、そのため、雪や冷たい雨が降り、1992年3月の菜種梅雨の際は、雷や霰も伴い荒天であった。北日本には菜種梅雨現象はみられない。当時の天気図を付図に示す。

文献:
千野明日香 『中国の諺』 (大修館書店、2010)
孫維良・片桐義子 『病気を治す花療法』 (リヨン社、1992)
広田勇監修 『なるほど!お天気学』 (毎日新聞社、2008)


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